ニホンユウセンヒカワマル

日本郵船氷川丸

山下公園

マリンタワーからの氷川丸全景

数々の危機を乗り越え今も人をたのしませる客船

1960年の航海を最後に山下公園に停泊して、横浜港を見守る氷川丸。海を介して国と交流するために、日本の人やものを運ぶ海運の整備が早急に進められていた明治時代。横浜開港をきっかけにした、日本の海運の発達は日本の近代化の歴史とも言える。多くの危機を乗り越え、豪華客船としても旅客を乗せた本船は、華やかな船内から人々を歴史へといざなう。イルミネーション、響き渡る汽笛の音など…今でも観光客を楽しませ続けている。


おすすめポイント

日本に現存する最古の国産船

氷川丸

氷川丸は数々の危機を乗り越えた事から強運の船と言われている。危機とは戦時中、政府徴用船、および海軍特設病院船となり、終戦までに3回も触雷し、戦闘機からの銃撃、潜水艦との遭遇からも生き延び、日本郵船の大型船では唯一沈没を免れた。敗戦後に戦後賠償として差し押さえになりそうになった事もある。そしてなにより、昭和35年の最後の航海後にスクラップ化を免れて、現在のように山下公園に係留され一般公開される事になった。

往年の豪華客船時代に思いを馳せて

アール・デコの内装

豪華客船として運航されていた際には秩父宮殿下妃殿下が渡英されたことに加え、世界の喜劇王チャールズ・チャップリン、柔道の父嘉納治五郎など各界の著名人が乗船したという。宝塚歌劇団50名を北アメリカ・カナダ公演へ送り届けたこともあるとか。豪華な食事と行き届いたサービスは大変好評だったようだ。いちばん豪華な一等客室の船賃は、なんと500円。これは昭和初期ではたいそうなお金で、千円あれば家1軒建てることができたことを考えると、世界に名だたるセレブリティが船旅を楽しんだことも頷ける。豪華客船時代に、数々のドラマがあったのだろうなと想像してしまう。

息をのむような美しいインテリアデザイン

一等客室の内装

氷川丸のインテリアの主な部分は当時のフランスの船室デザイナーとして活躍していたマルク・シモンがアールデコ様式でデザインしたもの。マルク・シモンのカラースキーム(インテリアデザインの図面)が残されており、見比べるとほぼデザインどおりに作られていることがわかる。これはとても珍しいことらしい。中でもアールデコ様式の天窓や天井がとても素敵で優雅な気分になる。一等特別客室は川島織物につながる川島甚兵衛のデザインと言われており、なんと椅子とテーブル以外は当時のままの客室を見ることができる。ベッド上には「かざり毛布」と呼ばれるものが置いてあるので注目だ。毛布を花や植物に見立てたそうだ。乗船する外国人に特に評判がよかったとか。細部にまでおもてなしの心を感じる。

まるで海に浮かぶ船上の美術館

屋外デッキ

300円という入館料では安い!と思えるほど、船内は見ごたえ十分。中は美術館のようで、なかなか見ることができない外国製の調度品や、クラシカルなデザインにため息をついてしまうだろう。外に出ると、気持ちの良いデッキからは、みなとみらいや大さん橋を望め、豪華客船で旅をしているように錯覚してしまう。屋外デッキにはとても座りやすいベンチもあり、船長室や操舵室(そうだしつ)からは横浜港が見渡せる。当時使われていた、伝達の仕組みなどが今も残され、船長室と船の一番上にある操舵室とで会話もすることができるので、探してみてほしい。古き良き船旅を追体験しよう。


歴史発見

氷川丸の名は埼玉県にある氷川神社から名付けられ、船内の神棚には氷川神社の御祭神が祀られている。船内装飾には社紋である「八雲」の神紋が用いられている。階段の美しいアイアンの中に見つけることができる。歴代の船長とその乗組員全員は大宮まで参拝するのが習わしで、戦争が始まってからは南方から持ち帰った砂糖といった珍しい物資も度々献納され、安全祈願祭が行われていたようだ。 また昭和17年の航海中には8月1日に氷川神社の大祭を祝うお祭りが船中で行われた。氷川丸と氷川神社の特別なつながりを知るのもとても興味深い。



100年受け継がれる氷川丸のドライカレー

ドライカレー

ひき肉や野菜のみじん切りを煮詰めたものをご飯にかけて食べるこのドライカレーは、明治時代に日本郵船の欧州航路船上で日本人コックが考案したと伝えられる。福神漬けも船内で作っていたという史実もあるとか。実はこの氷川丸に代表される「郵船ドライカリー」の味は100年継承されているのだ。お土産として「氷川丸ドライカリー」はレトルトでも売られているが、その味を受け継ぎ再現しているお店が関内にある「Bar de 南極料理人Mirai」だ。オーナーはなんと南極料理人だった方で飛鳥と飛鳥Ⅱの南極観測隊で日本郵船の船に乗っていたという異色の経歴をお持ち。口に入れた瞬間、素材の甘さがひろがり、後味がすごくよくて驚いてしまった。ぜひ継承された歴史を味わってみてほしい。

日本郵船氷川丸フォトギャラリー

日本郵船氷川丸スポット情報

スポットデータ

スポット名 ニホンユウセンヒカワマル 日本郵船氷川丸
電話番号 045-641-4362
住所 横浜市中区山下町279
営業時間・定休日 10:00~17:00※入館は16:30まで
[定休日] 毎週月曜日
備考

入場料一般:300円、高校生以下100円

ホームページ http://www.nyk.com/rekishi/

日本郵船氷川丸アクセス・駐車場情報

アクセスマップ

住所 横浜市中区山下町279
徒歩

「元町・中華街駅」4番出口より中華街と反対の湾岸方面へ。山下公園内。

電車

みなとみらい線 元町・中華街駅出口 徒歩3分
JR関内駅南口 徒歩20分
JR石川町駅中華街口 徒歩15分

タクシー※

関内駅から移動距離約2.9km(約1000円)
横浜駅から移動距離約4.3km(約1450円)

※深夜料金は含みません。金額は目安です。ルートなどによって変動があります。

首都高速横羽線「山下町」出口
首都高速横羽線「横浜公園」出口
首都高速狩場線湾岸線「新山下」出口

駐車場情報

駐車場
提携駐車場

-

近隣駐車場

ポートサイド駐車場/神奈川県横浜市中区山下町8

安全駐車場

山下公園駐車場/ 神奈川県横浜市中区山下町279

近隣の観光スポット

他にもこんな横浜の歴史発見を掲載しています